ハイブリッドボルトの一番の特徴はネジ山に加工されたスリットです。このスリットのバネ効果を利用して構造的にネジのゆるみを止めます。その特徴を一般のネジがゆるむ理由と合わせてご説明します!
一般のネジをメネジ(ナットやタップ穴等)に入れていくと、オネジとメネジの間には隙間があるため最初はスルスルと何の抵抗も無く回っていきます。
オネジとメネジで被締結物を挟み、さらに締め込んでいくことによってネジは固く締まっていきます。
ネジは、この固く締め込んでいく時にオネジが伸び、その伸びたオネジが戻ろうとする力(軸力)と、オネジとメネジが接触している部分に働く摩擦力により締結します。
しかし、一般のネジだとオネジとメネジが接している逆側にどうしても隙間ができてしまいます(図1 A部)。
この隙間が、縦揺れや振動、衝撃等によりネジが緩む原因となります。
また、一般のネジは一度緩んでしまうと、締め込むと同様に何も抵抗が無い状態となり、ネジや被締結物が脱落したり、本来の機能が果たせなくなるなど、様々な不具合や事故へと繋がってしまいます。
そこで
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一般のネジではどうしても生じてしまう隙間を無くしたのがハイブリッドボルト(以下HB)です。
HBの一番の特徴はネジ山に加工されたスリットです。HBをメネジに入れる時、このスリットによりネジ山がバネの効果を果たし、オネジとメネジの間に隙間なく全てのネジ山でロックすることができるので振動等にも強いネジです。ネジの一山一山に“突っ張り棒”が入っていると想像すると分かりやすいかもしれません。
つまり、一般のネジは軸力と摩擦力により締結されますが、HBはそれに加えて反発力によっても締結されるということです。
また、一般のネジは締め込む前(オネジとメネジで被締結物を挟むまで)は何も抵抗が無いのに対し、HBはバネ構造により、入れ始めから多少の力(プリベリングトルク)が発生するため、たとえ軸力が低下したとしても、一般のネジのように無抵抗の状態にはならず、ボルトが抜け落ちるなどの心配はありません。
ネジの螺旋(ラセン)は坂道と同じですので、スベリ台で例えると、スベリ台の上からオシリをつけると一気にスベり落ちるのが一般のネジだとすると、HBはオシリをつけても両手と両足で踏ん張っているネジと言えます。
ハイブリッドボルト:基本サイズ(M3〜M20)/材質・頭部形状は問いません/切削品や特殊形状も承ります